革靴用の乳化性クリームと油性クリームの違いを靴磨き職人・樺澤幹人さんが解説!
京都の靴磨き職人・樺澤幹人さんがクリームの違いを解説!
革靴のクリームを見ると、当たり前のように「乳化性」「油性」と書いてあります。
本やネットで成分の違いが解説されていますが、いざ使うとなると、正直よく分かりません…。
そこで京都の靴磨き職人・樺澤幹人さんに、その違いを「分かりやすく」解説して頂きました!
早速参りましょう!
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京都の靴磨き職人「Glayage KYOTO 樺澤 幹人」です!
大手セレクトショップ在籍時から靴を磨き続け、現在は京都と全国からの郵送にて靴磨きを行っております。
乳化性クリームと油性クリームの違いを解説します!
「乳化性クリーム」・「油性クリーム」という言葉をご存知の方も多いと思います。
ただ、
- 実際何が違うの?
- どう使い分けたら良いの?
ということは意外と知られていません。
そこで今回は、「乳化性・油性の違い」について「分かりやすく」ご説明します!
なお、「油性クリーム=ポリッシュ(いわゆるワックス)」と表現される場合もありますが、別物とお考え下さい。
油性クリームとポリッシュの成分は似ていますが、クリームとしての乳化性・油性と、仕上げとしてのポリッシュは、目的が違います。
ですから、油性クリームを使った上でポリッシュを使う場合もあります。
それでは、参りましょう!(説明内容は、「コードバン・牛革共通」とお考え下さい)
まず、成分が違います!
簡単に表現すると…
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①乳化性クリーム
→水中油滴(オイルインウォーター)。水分の中に油分の粒子が入っており、メインは水分。
②油性クリーム
→油中水滴(ウォーターインオイル)。乳化性の逆で、メインは油分。
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効果・扱い方の違いは?
①乳化性クリーム
水分の割合が高く、そこにロウ分や染料等を配合。
「水分が多い=シミになりにくい」ため扱いやすく、薄手の革にもオススメの万能選手です。
サフィール製品では、「ビーズワックスファインクリーム」が有名です。
染料ではなくピグメント(顔料)が配合されているため補色効果が高く、カラーバリエーションも豊富。
ビーズワックス(艶を出す成分)の割合も高いため、品のある艶を出してくれます。
コードバン専用であれば、同じくサフィール ノワールの「コードバンクリーム」があります。
よりコードバンに栄養を与えるのがコードバンクリームです。
②油性クリーム
油分・ロウ分の割合が高く、ペースト状です。
油分が多いため栄養が浸透しやすく、乾燥も防ぐため、Alden(オールデン)等の高級靴に使われる厚手の革にオススメです。
油性クリームとポリッシュ(いわゆる「ワックス」)は成分が似ていて、「油性クリームよりロウ分が多く、硬いものがポリッシュ」とイメージして下さい。
油性クリームでハイシャインが可能なのも、成分が似ているからなんです。
ただし、油分・ロウ分が多く浸透力も高いため、乳化性よりシミになる危険性が高いです。
特に、乾燥している革、薄手の革、デリケートな革にいきなり塗ってしまうと、シミになりやすいので注意が必要です。
サフィールのハイグレードライン「SAPHIR Noir(サフィール ノワール)」の「クレム1925」は、天然由来の原料を使用しているため、革をより良い状態に整えます。
また、シアバターの効果で融点が低く、ブラッシング等の摩擦熱で浸透しやすいのも特徴です。
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まとめ
よく耳にする「乳化性クリーム」と「油性クリーム」の違いについて、京都の靴磨き職人・樺澤幹人さんに解説して頂きました!