革靴には乳化性クリームと油性クリームどっちがオススメ?靴磨き職人・樺澤幹人さんに聞いてみた!
京都の靴磨き職人・樺澤幹人さんにオススメクリームを聞いてみた!
以前、樺澤幹人さんに「乳化性クリーム・油性クリームの違い」を解説して頂きました!
ただ「違い」は分かっても、「結局どっちがいいの?」という素朴な疑問が…。
そこで今回はズバリ、「どっちがオススメ!?」という疑問にお答え頂きました!
早速参りましょう!
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京都の靴磨き職人「Glayage KYOTO 樺澤 幹人」です!
大手セレクトショップ在籍時から靴を磨き続け、現在は京都と全国からの郵送にて靴磨きを行っております。
今回は乳化性クリームと油性クリームについて、私のオススメをご紹介します。
ただ、靴磨きに正解はありません。職人それぞれ考え方がありますので、あくまでも参考までに。
ズバリ、オススメは油性クリーム。
私は、油性クリームがオススメです!
主な理由は…
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・上質な艶が出ること
・栄養が浸透しやすいこと
・乾燥を防ぐ効果が高いこと
・防水までは行かなくても、水染みを防ぐ効果が高いこと
・ブラッシングによって艶が復活すること&軽い傷なら消せること
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オススメの油性クリーム
サフィールのハイグレードライン「SAPHIR Noir(サフィール ノワール)」の「クレム1925」がオススメです。
ただし、次の場合は乳化性がオススメです。
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1.定期的なメンテナンスをされない方
2.シューケア初心者
3.シミになるリスクを少しでも小さくしたい方
4.普段は油性でも、革が乾燥している時
5.プレメンテナンスの時
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サフィールの乳化性では、「ビーズワックスファインクリーム」が有名です。
1.定期的なメンテナンスをされない方
普段からブラッシングだけでもされる方は、ブラッシングの摩擦熱で内部の栄養が循環して革がほぐれます。
その結果、乾燥しづらくなります。
ところが、定期的なメンテナンスをされない方の靴は乾燥しがち。
その状態で油性を塗ると、乳化性よりシミになる危険性が高いんです。
2.シューケア初心者
靴磨きを始めた頃は、ついクリームを塗りすぎたり、塗り方も不慣れです。
その点、乳化性はシミになりにくく、栄養も十分与えられますので、初心者でも扱いやすいクリーム。
また油性に比べてリーズナブルですから、「慣れるまでは乳化性」というのもオススメです。
3.シミになるリスクを少しでも小さくしたい方
乳化性にも油分やロウ分は含まれるので、「絶対シミにならない」とは言えません。
ただ、油性に比べればシミになるリスクは小さいです。
Alden(オールデン)のウイスキーコードバンのような薄いカラーは、特に注意して下さい。
4.普段は油性でも、革が乾燥している時
普段油性を使う方でも、必ず革の乾燥をチェックして下さい。
そしてカサついている時は、乳化性がオススメです。
我々プロなら乾燥の度合いは分かりますが、ご自身で判断される場合の一つの目安は、「ブラッシングをしても全く艶が出ない場合は乾燥している可能性大」とお考え下さい。
ただ、「やっぱり油性を使いたい!」という場合は、油性の前にデリケートクリームを塗って下さい。
「いきなり脂っぽいステーキを食べるとお腹を壊すので、まずはサラダから」というイメージです。
デリケートクリームはワックスや有機溶剤を含まないため、シミを防ぎながら保湿・保革してくれます。
サフィールの「デリケートクリーム」とサフィールノワールの「スペシャルナッパデリケートクリーム」がオススメです。コードバンでも牛革でも使えます。
「スペシャルナッパデリケートクリーム」には若干のミンクオイルが配合されているため、栄養をしっかり入れたい場合や高級靴に使われるような厚手の革にオススメです。
他方、少しでもシミになるリスクを小さくしたい場合は、「デリケートクリーム」がオススメです。
5.プレメンテナンスの時
買ったばかりの靴は、最後のケアからどれくらい時間が経っているか分かりません。
ですから、履きおろし前のプレメンテでは、乳化性又は4のとおりデリケートクリームを塗った上での油性がオススメです。
ぜひ、ご自身に合ったクリームを探してみて下さい。
乳化性・油性という選択では、私は油性がオススメ。
ただ、乳化性がオススメな場合もありますので、上手に使い分けて下さい。
乳化性・油性それぞれメリットが違うので、結局「何を求めるか」によって変わります。
また、同じ乳化性・油性の中でも、製品によって特徴も違います。
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まとめ
「乳化性クリーム」と「油性クリーム」について、京都の靴磨き職人・樺澤幹人さんにオススメを聞いてみました!