Aldenってそんなに良いの?もっと安くて良い革靴はあるのに売れる理由
Alden(オールデン)は凄く人気みたいですが、そんなに良い革靴なんですか?
もっと安くて良いブランドはあると思うので、高すぎませんか?
雑誌やSNSなどの影響で、実力以上に評価されてる気もしますが…。
時折こういう質問をいただいたり、ネット上でこういう意見を目にします。
そこで今回は、「オールデンの価値って、正直どうなの?」ということを書きます。
実はこれ、ブランディングとしても面白いテーマです!
もちろん人それぞれ考えは違うので、正解はないですし、他の意見を批判するつもりは全くありません。
ブランドが提供する価値は2つ!
ブランド(今回でいうとオールデン)が提供する価値には、
①機能的価値
②情緒的価値
があります。
①機能的価値
商品やサービスの機能・性能・品質といったもの。「スペック」とも言えます。
パソコンで言うと、画面の大きさ、処理速度、保存容量、重さ、バッテリーの持ちなど。
②情緒的価値
商品やサービスを通じて得られる高揚感、ワクワク感、幸福感、満足感といった精神的なもの。
例えば?
ある旅館は、部屋の作り、接客、温泉、寝心地、食事、アクセスといった機能的価値は平均的。
ところがその旅館は、今は亡き文豪が、ある名作を書き上げるために泊まっていました。
そういうストーリーがあると、価値はグンと上がりますよね。これが、情緒的価値です。
オールデンの機能的価値
革靴における機能的価値は、
・革質
・製法
・耐久性
・履き心地
・作りの丁寧さ
・パーツの品質
この辺りでしょうか。
例えば、オールデンの定番990(バーガンディコードバン・プレーントゥ)は、ラコタハウスさんで買うと138,600円(税込)。
では、34,650円の革靴の4倍、69,300円の革靴の2倍も履き心地が良くて、耐久性があって、作りが丁寧かというと、違うでしょう。
100万円の腕時計が、1万円の腕時計より100倍正確なわけではありません。
1000万円の車が、100万円の車より10倍速く走れるわけではありません(物理的には走れても、法定速度があります)。
これと同じことです。
もちろんオールデンは、履き心地も良いですし、メンテナンスすれば何年も履けます。
ただ、オールデンより安くて、機能的価値が高い革靴はあります。
むしろオールデンの作りは雑な部分がありますし、コードバンは水に弱いですし、色ムラや左右差も結構あります。
ですから、
「オールデンは高すぎる」
「実力以上に評価され過ぎてる」
「この作りなら、○円くらいが妥当」
「どこどこの革靴の方が、コスパは良い」
こういった意見は、機能的価値(性能や品質)だけ見ればその通りでしょう。
オールデンの情緒的価値
オールデンは、情緒的価値が抜群に高いです。
一言で言うと、「オールデンって楽しいよね!」という価値です。
例えば、
・レアカラーを手に入れる高揚感
・コードバンをピカピカに磨く喜び
・オールデンを眺めて過ごす幸福感
・緊張しながら個人輸入するドキドキ感
・雑誌で見て憧れていた一足を、記念日に買う喜び
・リアルやSNSで、オールデンファンとつながる喜び
オールデンにはこういう情緒的価値があるので、あの値段でも売れるんだと思います。
むしろあの値段だからこそ、手に入れる喜びや憧れの強さにつながるのかもしれません。
オールデンがどこまで狙っていたか分かりませんが、この情緒的価値こそ、オールデンが愛される大きな理由だと思います。
(もちろんオールデン以外でも、こういう価値を持っているブランドはあります)
オールデンは「高すぎる」のか?
結局のところ、「何によって価格が決まるか」という考え方次第だと思います。
「機能的価値によって価格が決まる」と考える人にとっては、オールデンは「高すぎる」でしょう。
なぜなら、もっと安くて、もっと機能的価値が高い靴はあるからです。
他方、「機能的価値と情緒的価値によって価格が決まる」と考える人にとっては、オールデンは「高すぎるとは言えない」でしょう。
これは価値観や感性の問題なので、正解はないです。
オールデンを買うか迷われている方は、ぜひ「自分はどんな価値を重視しているか」を考えてみてください。
ちなみに同じ人でも、情緒的価値を見い出せる対象は違います。
例えば僕は、高級革靴には情緒的価値を見い出せますが、高級料理や高級車には見い出せません。
まとめ
「Alden(オールデン)は人気だけど、そんなに良い靴なの?」
「もっと安くて良い靴はあるから、高すぎない?」
そんな疑問に対して、僕なりの考えをご紹介しました!